aheadの若林葉子さんに声をかけていただき、先月
袖ケ浦・マル耐に参戦した。

葉子さんはマイカーのシトロエンDS3を、私はaheadさんが
ルノーさんに借りてくださった、ルーテシアR.S.の2台で
4時間耐久レースをそれぞれ40分、3ステントずつ走った。

2014-11-22-23sodegaura

私にとって初めての袖ケ浦フォレストサーキット、
初めての4輪レース。

小さいころの夢がF1ドライバーになることで、当時
星野一義さんが2輪レースから4輪へ移って行かれたのを
雑誌で見て、F1ドライバーになるには2輪のレースから
ステップアップするのが1番の近道だと信じ、
17歳で2輪レースを始めた。

神戸のレーシングチームに入れてもらい、岡山県の
中山サーキットに通い出し、2輪レースの面白さと
その深さに引き込まれ、いつの間にかF1ドライバーになる夢が、
2輪レースで表彰台に登りたい、ということにコンバートされた。

しかし、子育てでオートバイから離れていた時期も
44歳で2輪のサンデーレースに復帰してからも
「いつか4輪でサーキットを駆けてみたい」という想いは
ずっと持っていた。

なので、葉子さんから電話をもらった時は、なんとしてでも
走ってみたいと思った。

サーキットには足しげく通っているが、4輪のレースは
何もかもが初めてで、緊張しつつも、その準備さえ
ワクワクしながらだった。

レーシングスーツ、ブーツ、グローブと2輪ではすべて
革製品のものだが4輪では耐火性のものが必要である。

マル耐のレギュレーションではレーシングウエアは推奨で
長袖長ズボンでも参加は可能であったが、
このレースが最初で最後ではなく、これからも4輪レースへの
参戦が叶う願いも込めて、レーシングスーツを用意し、
4輪用のフルフェイスも購入した。

自宅にほど近い4輪レーシングウエア類を扱うショップの
男性店員さんは、目をクルクルし戸惑いながら
私のフィッティングに付き合ってくれた。

レース前日の土曜日に、横浜でルーテシアR.S.を引き取り
aheadの神尾編集長にシート位置、ハンドルの持ち方
Gがかかった時の足の踏ん張り方など、基本的な
ドライビングテクニックをレクチャーをしていただく。

4輪は毎日のように足に使うが、何もかも普段と違う乗り方に
戸惑いながらも、ウエアを着こみグローブを付けての走行は
すべてが新鮮で、気分はF1ドライバーだった。

日曜の早朝、浮島から木更津まで東京アクアラインを渡り
千葉の袖ケ浦へ。

編集長から受けたレクチャーを復習しながらルーテシアR.S.の
アクセルペダルを踏む。
軽快なハンドリングと2輪に引けを取らないような力強い加速、
そして何より、シフトダウン時の小気味よいエキゾーストノートが
たまらなくレーシーで、すっかりR.S.の虜になってしまった。

2輪ももちろんだが、レースはひとりでは戦えない。
サポートしてくれる仲間が必要で、耐久レースとなると
なおさらである。
今回は編集部のトラさん、山下さん、心太郎くんが
手伝ってくださった。

4輪での初めてのサーキット走行。フィールドは同じでも、
2輪と4輪は全くの別物だと心底思った。

おっかなびっくりのプラクティス。2輪と違って転ばない
という安心感からか、直線でも高速コーナーでもスピードへ
恐怖は全くなかった。しかし、ストレートエンドからヘアピン
また、高速コーナー進入のブレーキの使い方がなかなか掴めない。

そして、心配していたとおり、バックミラーが気になって仕方がなかった。

2輪のレーシングマシンにはないバックミラー。

ルームミラーやサイドミラーに映る、後方から勢いよく迫るマシンの
ラインの邪魔をしているように感じ、コーナー進入でイン側を空けてしまう。

不安を抱えたまま4時間耐久レースがスタート、葉子さんから
バトン代わりのトランスポンダーを装着し、私のスティント。

やはり、バックミラーばかりが気になる。
凄いスピードで追っかけてくる何台ものマシン。
セイフティーカーが入ると遅いワタシは楽なはずなのに
逆に増す緊張感。
40分が長く感じ、恐怖心で終わったファーストスティント。

葉子さんが順調に周回を重ねる中、思ったように走れず
酷く落ち込む私に神尾編集長からアドバイス。

「バックミラーをあまり気にせず自分のラインを取った方がいい」と。

バックミラーを見すぎていたため、前に集中できなかったことに
気付いたとたん、ウソのように走ることが楽しくなった。
後続車を気にせず自分のラインを取り、タイムも
少しずつ縮んでいったセカンドスティント。

最後のスティントは「ベストタイムを更新するぞ~!」
とばかり、鼻息荒くコースイン。

しかし、3周目の左高速コーナー手前で気持ちが先走ったのか
アクセルを開けすぎ、フルブレーキングのままコーナーに
入ってしまい、テールスライドから大きくスピン。
後続車のフルブレーキングで接触は免れたが、一瞬アタマの
中が真っ白になった。

ピットとの通信で使っていたスマホから、監督トラさんの
「あと2周でチェッカーです。」の声が聞こえ、ステアリングを握る手に
力が入った。

レースが終わってしまう寂しさと、無事にゴール出来る安堵感
そして4輪レースの難しさと、面白さを複雑に感じながら
チェッカーフラッグを受けた。

丸山浩さん主催「マル耐」のエントラントさんはみな紳士的で、
初参戦のドライバーには無理な抜き方をしない大人の方ばかり。
ゆえに、超初心者な私でも楽しめたレース。

モータースポーツの楽しみ方が大きく広がったマル耐だった。

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