もうふたつきも経つのに、その感動が鮮明によみがえる
大山での二日間は、きっとこの先も忘れることはない。
Moto GPやスーパーバイクでの活躍など、スポーツバイクメーカーの
イメージが強いドゥカティがリリースしたツーリングバイク
「ムルティストラーダ」「ハイパーストラーダ」「デアベルストラーダ」 の
3種類に試乗ができる「Tour the Red」に参加させてもらった。
この試乗会は『タンデムスタイル』『L+bike』『風まかせ』の読者に
募集をかけ、抽選の上、当選者をドゥカティが招待してくださるもの。
RC8の外気温度計が39℃を表示する8月半ば、高速道路で
身体に受ける風は、 まさに熱風。
だるまストーブのようなRC8のエンジンが、暑さに拍車をかけ
不快指数レッドゾーンだったが、試乗会への期待感が大きく、
そんな「アツさ」すら楽しみながら鳥取へ向かった。
目的地は大山の西に位置する、鳥取県西伯郡南部町の 虹の村バンガロー。
男性6名、女性3名の参加者に対し、ドゥカティジャパンの 加藤社長はじめ
社員の方12名と、ジャーナリストの松井 勉さん、栗栖国安さんという、
参加者より多いスタッフさんたちでもてなしてくださった。
きちんとテントが張られた、参加者の駐機場。
バンガローのエントランスにはかわいいキャンドルが置かれ、
木の香りのする部屋にはイタリアのミネラルウォーターがキンキンに
冷やして用意されてあり、メッセージカードまで添えられていた。
到着した瞬間、ドゥカティのホスピタリティーマインドの高さに
衝撃を受けた。
でも、それはほんの序の口に過ぎなかった。
バンガローが囲む中央の芝生広場に3台の試乗車がライトアップされている。
その横に設えられた白いテントの下で 始まった夕食。
これは夕食と呼ぶより「試乗会前夜パーティー」と言った方が正解。
ドゥカティのコーポレートカラーである赤のクロスが映える
テーブルコーディネート。
プレースマットに描かれているのは、明日のツーリングの
イメージマップ。
そして、席札は1/18モデルのディアベル。
何度か出かけた披露宴やパーティーで、最近はシャンパングラスに
さりげなく差し込まれた、スタイリッシュな席札に出会ったことはあるが
こんな粋な計らいは初めてだった。
南部町の町長さんまでご挨拶される町をあげての歓迎ぶり。
乾杯はドゥカティのシャンパン。
地ビール、鹿肉スモーク、採れたて野菜、岩牡蠣に鹿肉のスペアリブなど
地元の食材にこだわった数々のお料理が次々にサーブされ
酔いも手伝って、すっかりお姫様気分。
夢のような空間で、共通の趣味をもつ仲間と話せる幸せを
感じながら、参加者さんたちとバイク話に花が咲く。
2名の女子は久留米市在住のゆみかさんと、調布市在住の香さん。
香さんはナント、この施設がある南部町の出身!
応募は調布市の住所で、たまたま当選されたらしく、
「ようこそ、南部町へ。」から始まった自己紹介に一同
「え~っ!」
デザートまでおしゃれ~!
翌日の天気予報は晴れ!
ドゥカティ3台の試乗を楽しみにしつつバンガローに戻り、女子3名は
井戸端会議に名残を残しつつ、床についた。
ウッドデッキへつながる大きな窓から、レースのカーテン越しに見える
空の青さにツーリングへの期待が高まる。
身支度を整え、朝食とブリーフィングが行われる会場へ。
用意されたおしゃれな朝食に、女子一同また感激!
地元の有名なパン屋さんで、ドゥカティロゴを入れて特別に
焼いてもらったというパン。
小麦まで地元のものを使うこだわりのパン屋さんだそうで
香りが最高だった。
ドゥカティの赤をイメージさせるブラッドオレンジジュース、
珍しい枝つきの干しブドウの上品な甘味にはビックリ。
昨夜のお姫様気分の余韻も冷めやらぬ翌朝に、こ~んな
朝食をサーブされると、試乗もしていないのに
「ワタシ、ドゥカティさんのことを好きになっちゃいました。」
なんて、年甲斐もなく本気で思ってしまう、単細胞。
プロライダーが華麗に操るハイパーモタードのプロモーションビデオのあと、
コースの説明、車両の割り振りなど、ブリーフングが行われ、
先導をしてくださる松井さん、栗栖さんと参加者全員で
記念撮影をし、一言メッセージを持ってひとりずつ。
青い空と、緑の山間を走るツーリングコース。
信号が少なく、本当に気持ちよかった。
「バイクに乗っててよかった~っ!」と、今更ながらに
改めて思った。
休憩時には、頃合いよく冷えたスイカまで用意してくださって
至れり尽くせり!
ランチは昨夜にいただいた「大山Gビール」で有名なガンバリウスの
ハンバーガー。パテには大山ポーク使われていて美味。
3台の中で足つき性が一番良く、どっしりした印象の
「ディアベルストラーダ」。
SSが好きな私はチョイスしないタイプのクルーザーだと思いきや、
乗ってみてビックリ。
低い回転からしっかりパワーが出ているので、スロットルを軽くひねる
だけで加速していく。
湿式クラッチは非力な女性でも扱いやすく、渋滞のノロノロ走行や
信号でのストップ&ゴーもストレスを感じなかった。
バイクでは珍しい、スマートキーをハンドル横のポケットにいれて
エンジンを始動するハンズフリーイグニションの「ムルティストラーダ」。
身長162cmの私では、取り回しと足つきに不安は残るが、一旦
走り出してしまえば、その軽快さに驚く。
スポーツ、ツーリング、アーバン、エンデューロの4種類の
ライディングモードを、電子制御によってコントロールすることが
できるが、のんびりツーリングだったのでその違いを体感するまで
至らなかった。
ロングツーリングを愛する今回の参加者さんたちの中では
一番人気だった。
そして、跨って走り出した途端、その楽なポジションからは
イメージできない俊敏な動きに驚いた「ハイパーストラーダ」。
日帰りがほとんどである私のツーリングシーンを思い浮かべてみると、
最先端技術が満載されたムルティの性能は持て余し気味になると思うが、
このハイパーはまさに身の丈サイズ。
排気量821ccの軽い車重に110psのパワフルなエンジンは、
ぴゅーっと走るSSが大好きな私の、まさに好み。
ツーリングでは毎回、道の駅で大量の野菜を買ってくるので
大容量のパニアケースも気に入った。
白菜だとおそらく、8玉くらい入りそうな大きさ。
8玉も買いませんが・・・
ホントに連れて帰りたいほど気に入った。
L+bikeの今月号にも掲載していただいているが、今回試乗した
3台の中で「お気に入の1台」に選んだのはもちろん、
「ハイパーストラーダ」。
大山の大きな自然を舞台に開催された今回の
ドゥカティプレミアム試乗会。
景色や走りが楽しめるポイントがふんだんに盛り込まれたコースは、
コーディネーターの松井勉さんが、練りに練った ルートだけあって
ツーリングには最高だった。
もう一度走ってみたいと思った。
生え抜きのBMWマンだった加藤社長が、4輪業界から
転身され、ドゥカティジャパン初めての日本人社長に
就任されたのが4年前。
クラブハウスのイベントでパニガーレをディスプレイしたり、
ファッションショーとのコラボなど、これまでいろいろなバイク
メーカーがトライしてきた手法とはひと味ちがったスタイルで、
バイクとは縁がない業界を繋ぎ、いろいろな世代の人たちに
「バイクのある生活」を提案する。
ドカティのイメージ向上のみならず、バイク文化そのものを
昇華させ、日本に根付かせるべく東奔西走されている。
私はこのツアーに参加し、ハイパーストラーダの走りに衝撃を受け
加藤社長のビジネスを超えた「センスと価値観」に大きな魅力を感じ、
ドゥカティを持ってみたいと思った。
参加者の皆さんとは、 このツアーのあとすぐにSNSで繋がって、
情報交換をさせていただいている。
このご縁も大切にしたい。