日常ではあり得ないスタート前の緊張感。
レーシングスーツに着替えてピットで「スタート前進行」の
時間が来るのを待つ間、 周りの皆が声を掛けるのを憚るくらい
『ヤ』な表情で腰を掛けているのが、自分でも わかる。
「あー、なんでエントリーしたんだろ。」 と、
いつもの後悔。
胃がキリキリ痛むし、脳に酸素がいってないのか、
とにかく眠い。
楽しんで来ます!なんて言って、ウソやん。
重い腰を上げてウェイティングエリアに向かう。
今にも泣き出しそうな顔を見られるのが嫌なので、早めに
ヘルメットを被り、エリアの隅でコースインを待つ。
私以外の9名のライダーさんが余裕綽々たる面持ちにみえて
さらに不安がつのる。
誰かが「頑張ってください!」と、声をかけてくれるが
ひきつった顔で「はい」と返事をするのが精いっぱい。
この時にいつも思い出すのが、
「くりきんとんあんころもち」
これを繰り返すと、すこ〜しだけ気持ちが落ち着く。
堀ひろ子さんが、レース前の緊張を取り去るために唱えていた
お題目である。
「くりきんとんあんころもち、くりきんとんあんころもち・・・」
コースインの時間が近づき、ウォーマーを外してもらい
シートに跨った。
エアバックのコネクターをセットし、17番ピットを通過して
ピットロードに整列する。
「くりきんとんあんころもち、くりきんとんあんころもち・・・」
オフィシャルの合図とともにコースイン。
この瞬間、いつも不思議なのであるが、先ほどまであれだけ感じていた
プレッシャーが、まるで張り詰めた糸が音を立てて切れるように消え
急に視界が広くなり、周りの景色がちゃんと見えてくる。
お手伝いしてくれる石橋父さんや今村パパ、ちゅうさんや山もっちゃん、
相見さんの待つグリッドに戻って来るころには、肩の力も抜け
わくわくモード。
選手紹介のアナウンスを楽しめる余裕さえ出てきている。
予選グリッド4番手、2列目のアウト側。
ここからだと1コーナー大外から回り込んで、 そのまま2コーナーの
インに早く付けば前に 出ることができるかな・・・
そんなことを考えながらサイティングラップを終えて、グリッドにつき
ブラックアウトを待つ瞬間は、 また緊張が戻ってきて心臓が口から
今にも飛び出しそう。
あり得ないエンストまでしでかしたことがある、ニガテなスタート。
押し掛けスタートだった大昔のレースは、ニガテを克服しようと
疲れて果てて、寄りかかりゴケをするくらい練習しても、本番は焦って
エンジンがかからず、皆が1コーナーに消えていくタイミングで
やっとかかる。
その苦手意識が、25年ぶりにレースリターンしエンジンスタートに
なった今も消せずにいて、ネガティブ心理が働いて力が入ってしまい
何度もスタートミスをした。
赤旗を持ったオフィシャルがピットウォールの中に消え、スタートの
合図「レッドシグナルからブラックアウト」。
頭の中は真っ白、1コーナーを見つめる目と、アクセルを開ける
右手だけに神経が集中している。
今までのレースの中で、おそらく一番うまくいったスタートだった。
上出来スタートで2台をパスし、大外からの作戦ではなく、
1コーナーイン側を奪取。ホールショットは奪えなかったが
先行するドカティSSさんをバックストレートでパス、1周目
グランドスタンド前を先頭で戻ってこれた。
このとき、我がチームのピットは大盛り上がりだったらしい。
直線番長GSX-R1000のフルパワーと、インフィールドは「追い越したら
承知しませんで。」の、邪魔なおばさんパワーで、3周目までトップを譲らず。
しかし、4周目アトウッドコーナーであっさりR1さんと10Rさんに
かわされ、3番手。
6周目CBさんにもパスされ、結局4番手でゴール。
しかし、CBさんのフライングで結果繰り上げ3位でした。
チェッカー後の1周は各コーナーポストのオフィシャルさんが
手を振って健闘を称えてくださる。
何度も同じ経験をしてきたが、毎回感激するラップである。
転ばずにチェッカーフラッグを受けることができた安堵感に浸りながら
コースをゆっくり1周できる、なんといっても一番好きな瞬間。
ウエットコンディションでは2位、4位でお立ち台に
上げてもらったことがありましたが、ドライでは初めて
だったので本当に嬉しかった。
この決勝中にベストラップタイムを更新し念願の49秒台。
私がエントリーしている「オープン‐Challenge」のクラスは
50秒を切るとエントリーできないので、このクラスは卒業となって
次回から「オープンクラス」にステップアップします。
私にとって50秒は、本当に厚い壁でした。
まして50秒を切ってからの1秒、いやコンマ1秒を縮めるのは
至難の業だと思います。
オープンクラスでの表彰台は夢のまたユメですが、また高みを目指して
お稽古に精進します。
いつもこんな、へなちょこおばさんレーサーのお手伝いをしてくれる
Zオート西宮の店長フミくん、トシくん、チエちゃん、おかあちゃん、
そしてレースリターン当初からおんぶに抱っこでお世話になる石橋父さん、
私の奥さん?(笑)のように細やかな気づかいをしてくれるマユミさん、
木村父さん、かゆいところに手が届く相見さん、今村パパ、ムードメーカー
橋もっちゃんとずっとキッチンのお手伝いをしてくれた千鶴子さん、
二人で掛け合い漫才のちゅうさん、山もっちゃん、お世話になりっぱなしの
いっちゃんとまーちゃん、男前ファイヤーファイター・ヨーヘーくん・・・
名前を挙げるときりがありませんが、たっくさんの方々に助けてもらって
心底レースを楽しめることに心から感謝しています
本当にありがとうございます。
相見さんが表彰台のビデオを撮ってくれていました。
オープンクラスで同じ場所に立てるとは思えないので 一生の宝物にしますネ。(笑
http://www.youtube.com/watch?v=m6bReFAzAWk&feature=youtu.be
永遠のライバル濱口さんの〇〇シーン、動画ラストが必見ですヨ♪
サポートソックスとおばさん草履のマッチングが
オシャレだわ~^^;